クルマの知識

VW(フォルクスワーゲン)独自技術「DSG」のメリット&デメリット


ミラノオート野田です。


DSGのメリットとデメリット、
そして今後のDSGの将来について。

まず前回のおさらいですが、
フォルクスワーゲンとアウディグループが
「DSG」という名称で呼んでいる
ダブルクラッチトランスミッションのことでしたね。

またDSGにも2つの種類があり、乾式DSGと湿式DSGが存在しています。

カンタンに乾式と湿式クラッチの違いですが、
動力を断続するクラッチが油の中にあるか、
無いかによって湿式と乾式によって分かれています。


しかしVWではDSGとも呼んでいますが、
別名DCTとも呼ばれたりもしており、
いずれもダブルクラッチ式ATのことです。

またポルシェではPDKとも呼ばれるなど
各車さまざまな呼び方があります。


ここからこれまで100台以上のDSGを取り扱いしてきた
私自身感じたメリットとデメリットをまとめましたので
参考になさってください。


DSGのメリット

マニュアル車に負けない圧巻の加速
動力伝達効率の高さから良く走る
変速に要する時間は0.03秒から0.04秒と素早い
AT車よりも変則の継ぎ目がなく自然な加速
CVTやトルコンにはないダイレクト感
燃費が良い
加速時のシフトアップの効率が良い
変速中もトルクが完全に途切れない
変速がMTより速い
長距離ドライブは快適
3速から7速はストレスない効率の良い走り

DSGのデメリット

低速でのギクシャク感
耐久性にも多少不安
半クラッチがない
DSGの特性を理解し、スロットルコントロールが必要
ジャダーのあるクルマが多い
発進がスムーズではない
独特な動作音
過去に大量のリコールがあった
ストップ&ゴーは苦手
開発の歴史が浅く修理費に不安
定期的なオイル交換が必要



◆ウィキペディア(Wikipedia)にこう書かれています。
以下参照

最大の利点は伝達効率が高く、燃費・ドライバビリティをMTと
同等としながらもATの簡便さを持ち合わせていることである。

欠点はデュアルクラッチ故に制御がずれると、クラッチ1・2のオーバーラップ時のショックが出る
(大概、ECUの学習値リセットで解消する)。

また、渋滞が多くATユーザーが多い日本市場特有の欠点として、
発進時の違和感(ギクシャク感)が多数挙げられるが、
DSGの特性を理解してスロットルコントロールすれば全く問題無い。


DSGの将来はどうなる?

以前まではトランスミッションといえばMT(マニュアル)か、
AT(オートマティック)の二種類でしたが、
現在は色々な種類のATが存在しています。


そのATは大きく分けて下記の4つですが、
エンジンからの伝達効率がそれぞれ違います。

・DSGの伝達効率・・・90%以上とされる
・ATの伝達効率・・・80%から90%とされる
・CVTの伝達効率・・・75%から85%とされる
・DCTの伝達効率・・・90%以上とされる

この伝達効率の良さを活かして、変速に要する時間が0.03秒から0.04秒と
素早いシフト操作が可能なDSGが開発されてきました。

これによりATは燃費重視のCVT、
スムーズさを押し出したトルコン式、
キビキビした走りのDCTと分かれることになったのです。

またATにはトルコンが存在しており「レスポンスの悪さ」
が否めませんでしたが、現在ではDSG以外のATも技術の進化によって
各メーカーモデルによって使い分けがされるようになりました。

例えば、
ドイツ勢の戦略はハイエンドスポーツモデルにはDCTを、
主力モデルにはトルコンステップATの採用を堅持する方向でした。

国内メーカーでは、DCTの採用は日産スカイラインGT-Rや、
三菱ランサーエボリューションと限られた
スポーツモデルのみという事になりました。


そしてこれらの勢力はトルコンステップATの
メカニズム改良に邁進していきました。

その結果トルコンステップATは短期間でDCTと
大差のないレベルまで技術を邁進させてきました。

それはDCTの弱点でもあったクラッチという問題を解消し、
遜色のないレベルにまで発展させてきたのです。

日本などのアジア圏では欧州ほど道路の整備が行き届いていないものが多く、
渋滞や交差点が多くストップ&ゴーの頻発する環境ではDCTは向いていないこともあり、
思うほど普及しませんでした。

しかし、これでDCTが終焉を迎えたのかといえば、
やはりスポーツ走行の分野では現在でもDCTが実力を発揮しています。


ポルシェのPDKなどに使われているZF製のハイエンドスポーツ用DCTは、
DCTならではのすっきりした加速を見せています。

今後もDSG「DCT」はこの分野では依然として威力を発揮していくのではないでしょうか。



最後に日本でのDSG車の扱い方のコツについて。
乾式7速DSG車の発進時の乗り方

  1. ブレーキペダルから足を離す
  2. 疑似クリープで車がゆっくり動き出すまで待つ
  3. 動き出したら少しだけアクセルを踏んで加速する
  4. そのままギアが3速に入るまで待つ
  5. 3速に入ったら必要な量だけアクセルを踏む

渋滞や交差点が多くストップ&ゴーの多い日本では
乗り方のコツがいるので参考にしてください。


最後までお読みいただきありがとうございました。
ミラノオートサービス株式会社
野田 拓志




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