メンテナンス

アウディー!ソレノイドバルブとギアボックスの異常について

ミラノオート野田です。

お客さまから、ギアボックスのチェックランプが点灯し、パワーダウンしたから点検してほしい。

「ギアボックスが点灯したが、今は消えている」
「点灯した時は、パワーダウンし加速しなくなった」
「症状が出たのは3回だけで、それからは出ていない」


このお客さまのクルマは、平成23年の4WDモデル、2.0TFSIクワトロ」(211馬力)+7速Sトロニック。

型式がABA-8KCDNF、グレードがSLINEパッケージの人気モデルです。

今回お預かりしたアウディーのギアボックスチェックランプ点灯の原因は、ギアボックスの温度上昇を伝えるクーリングオイルバルブまたはセンサーが、異常な高温を検知したことによるものと判断しました。

5日ほど毎日、試乗を繰り返しましたが、ギアボックスのチェックランプ点灯は全くなく、走りもスムーズでした。

このまま激しい乗り方をしなければ、センサーが異常な高温を検知する可能性は低く、今回は、様子見と言ったことで一旦納車させていただきました。

しかしこのアウディーの症状がさらに酷くなるとどうなるのか?

その原因と対策について解説します。

アウディDSG「7速Sトロニック」とは?


アウディのDSGとは、高性能なデュアルクラッチトランスミッション(DCT)システムのことです。

DSGは、ギアを滑らかかつ迅速に切り替えることができるため、スポーティな走行性能と燃費の向上を両立させることができています。

「7速Sトロニック」とは、アウディのDSGシステムの一つであり、7つのギアを持つことを意味しています。

Sトロニックは、アウディが開発した特定のトランスミッションモードの名称です。

Sトロニックモードは、スポーツドライビングに最適化されたモードであり、よりスポーティな走りを楽しむことができます。

このモードでは、シフトアップおよびシフトダウンが迅速に行われ、高回転までエンジンを引き上げることが可能です。

アウディのDSG「7速Sトロニック」は、パフォーマンスと効率を両立させるための先進的なトランスミッションシステムであり、スポーティな走りと快適性を両立しているわけです。

唯一デメリットを上げるとしたら、常に2つのギアがつながっている感覚で、半クラッチがなく慣れるまでギクシャクした動きになりやすい事です。

ソレノイドバルブとギアボックスの問題の原因と対処法

ソレノイドバルブの症状?


アウディーにおけるソレノイドバルブの異常について解説します。

ソレノイドバルブは、エンジンオイルやトランスミッションフルードの流れを制御する重要な部品です。

ソレノイドバルブに異常が生じると、トランスミッションのシフトがスムーズに行われず、異音やシフトの遅れ、逆にシフトが入らないなどの症状が現れる場合があります。

これは、ソレノイドバルブの故障や詰まりが原因で起こることがあります。

ギアボックスの症状?


次に、ギアボックスの異常についてです。
ギアボックスは、エンジンの出力をトランスミッションに伝える役割を果たしています。

ギアボックスに問題があると、シフトが滑る、ギアが入らない、異音がするなどの症状が現れることがあります。

ギアボックスの異常は、摩耗や磨耗、不適切なメンテナンス、オーバーヒートなどさまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。

ギアボックスの警告灯が点灯する6つの原因


1、トランスミッションフルード(ギアオイル)のレベルが低い

ギアボックスは適切な潤滑が必要で、そのためには適切な量のトランスミッションフルードが必要です。
フルードレベルが低いとギアボックスが過熱し、故障する可能性があります。

2、トランスミッションフルードの品質問題

使用済みまたは汚れたフルードは適切な潤滑を提供できず、これがギアボックスの異常を引き起こす可能性があります。

3、ギアボックスの機械的な問題

歯車、ベアリング、シャフトなど、ギアボックス内の各部品に異常がある場合も警告灯が点灯する可能性があります。

4、センサーの故障

モダンなアウディ車両は、トランスミッションの状態を監視するために多くのセンサーを使用しています。
これらのセンサーのいずれかが故障すると、ギアボックスの警告灯が点灯する可能性があります。

5、ソフトウェアの問題

車両のECU(エンジン制御ユニット)に問題がある場合、ギアボックスの警告灯が誤って点灯することがあります。
この場合、ECUのリセットやソフトウェアのアップデートが必要になることがあります。

これ以外にも、

・ギアボックスの温度上昇を伝えるクーリングオイルバルブまたはセンサーが故障し、異常な高温を検知してしまう

・Sトロニックのユニット内部の部品が経年劣化で故障してしまう

・DSGオイルが汚れてスラッジ(鉄粉やごみ)が溜まり、センサーやソレノイドの誤作動や不具合を誘発する

・これらの原因によって、ギアボックスが異常というエラーメッセージが出たり、

・奇数ギアに入らなくなったり、エンジン回転数が不安定になったりする場合もあるようです。

DSG修理方法と費用について


ギアボックスの修理方法として、リペアキット交換、DSGユニット交換、ギアボックス交換などがありますが、


画像の「34」の部分がリペアキットです。
ミッション切り替えを管理しているソレノイドとか、温度センサーとか全部含めてリペアキットです。

リペアキット内容
・プリント基板 その1
・プリント基板 その2
・クラッチ用ソレノイドバルブN440
・クラッチ用ソレノイドバルブN436
・クラッチ冷却用ソレノイドバルブN471

このリペアキットは、純正部品から外品まで、ネットで探してもいろいろ出ていますね。
出来れば純正部品をおススメしますが、これらの部品はすべて消耗品だという事です。

リペアキット以外でも、画像の「3」のDSGユニット本体側に故障してしまう消耗部品があるということです。

また、「3」のDSGユニット本体側の部品が壊れた場合、ディーラーだと全交換で例の65万円の修理になるのですが、DSGユニット本体側ASSY交換が出来れば修理費も安価に抑えることができます。


Sトロニックの基板交換だけで済めば、20数万円程度。

Sトロニックの基板とTCU交換するとなると40数万円。
このTCUはディーラーでも入手出来ない代物でギアボックス一式の部品です。

最悪ギアボックス交換になるとディーラーで70〜80万円の見積もりが出ます。


リペアキットやその関連部品はミッション内部で酷使されるため、消耗品という考え方もあり、5年または5万キロ前後でチェックランプ点灯といった症状になるケースも多いようです。

ただ、かなり個体差があるようなので出ない車は出ないようです。

対策として、
DSGオイルを交換しないと徐々に溜まってくるスラッジ(鉄粉やごみ)が悪さをして、センサーの誤作動や、ソレノイドの不具合を誘発する可能性もあるようなので、こまめなオイル交換は効果があるかもしれませんね。



最後までお付き合いいただきありがとうございました。
ミラノオートサービス株式会社
野田 拓志

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